質問内容
「 建前 」に近い意味の 英語 表現
「あれ 建前 で言っただけよ」
など日常会話でも言ったりしますが、
英語 でこれをシンプルに表現する方法はありますか?
辞書で調べると
「 建前 」に対応する 英語 表現が何個か確認できますが、
ネイティブが実際に日常会話で使ってる表現
が知りたいです。
回答・解説
「 建前 」は日本独特の価値観を反映した言葉であるため、
この単語に対応した 英語 の単語は存在しません。
しかし「建前」が持つ意味合いや
日常会話での使われ方を把握する事で、
英語でも近い意味合いを表現する事が可能です。
1.「 建前 」の意味
「 建前 」の意味を辞書で調べると、
真実とは異なる、公に出される物事の理屈、表向きの理由
口実、名目、表面上の理由、世間的な理由、名目上の理由
とあります。
また 英語 で「tatemae」を調べると、
what is expected by society and required according to one’s position and circumstances.
とあり、これは
その人の立場や状況に応じて社会から期待や要求される事
という訳になります。
2. 日英辞書の「建前」の訳
日英辞典で「 建前 」を調べると、
下記の訳をよく見かけますが、
「建前」とは別の意味合いで使われる事が多いです。
・public face = 広報の代表
企業や組織の広報など、
spokesman(スポークスマン)の意味合いを連想させます。
・public stance =政府、政治家、公人の公的スタンス
政府や公人などの社会問題に関する考え、
政治政策に関するスタンスなどを表す事が多い。
また「(真実とは異なる)表向きのスタンス」という意味合いは含まない。
一般人の日常会話での「建前」には向かない表現。
・public position = 公的地位、公職
「表向きの/公的なスタンス」
に近い意味合の表現として紹介されていますが、
「position」には「役職」という意味合いがあるため、
「公的な地位/公職」という意味合いで使われる事が多いです。
3.「建前」の意味に近い英語表現
日常会話で
「建前」を使う場面というのは、
「建前で言っただけ」
「建前でやったけど~」
など、
「自分の本心ではなかったけど、
社交辞令的に、または相手に気を使って言った/やった」
という意味合いで使う事がほとんどだと思います。
ですので、
「社交辞令」と「相手に気を使って」
というニュアンスを英語で表現する方法を紹介します。
a) diplomatic | 社交辞令
「社交辞令の/外交辞令の」という意味の形容詞です。
「外交官」など政府の職員などを表す場合に使われる事も多いですので、
用法は限られていますが、
日常会話レベルでの「社交辞令」を表す事が可能です。
例文
・I was just being diplomatic.
(建前でやっただけだよ)
※「何でそんな事言ったの/やったの?」や
「凄く相手に丁寧で親切だったね」などの
発言に対して、「建前で言った/やっただけ」という文脈などで使える。
・I got tied of being diplomatic.
(建前で生きるのには疲れたよ)
※本音の言えない職場環境や立場に疲れた、
のようなニュアンスで使える
・Stop being diplomatic.
(建前で話すのはやめろよ)
※表向きの浅い話はやめて、
本心を話せよ、というニュアンス
b) just to be nice | 気を使って
「just to be nice to him」などと言うと
直訳的には
「彼に対して良くするためだけに」
となりますが、
意訳的には、
「彼に気を使って」
という意味になります。
例文
建前で言う
・I said it just to be nice to him.
(建前で言っただけだよ)
※「彼に気を使って言っただけだよ」
・But I think she said that just to be nice to me.
(でも彼、建前で言っただけだと思う)
※「でも彼は私に気を使ってそれを言っただけだよ」
・Aren’t you telling me that just to be nice to me?
(私に気使って建前で言ってない、それ?)
建前でやる
・I did it just to be nice to her.
(建前でやっただけだよ)
※「彼女に気を使ってやっただけだよ」
・I guess he will do it just to be nice to you.
(彼、建前でやってくれるんじゃないかな)
※「彼はあなたに気を使ってそれをやると思います」
・He does Everything he does just to be nice to us.
(彼がやる事は全て建前でやってるだけだよ)
c) stated reason|表向きの動機/口実
直訳は「公言された理由」です。
「表向きの動機/口実/理由」
などの意味合いで使われます。
「stated reason」を使って「建前」を表現する場合、
「表向きは~って言ってるけど、・・・」
「建前では~って言ってるけど、・・・」
のように、
「~けど、・・・」の内容まで言う事によって、
「建前上の理由」である事をハッキリと表現できます。
例文
・Their main stated reason for the divorce is that they grew apart.
But the media says the husband is seeing another woman.
(建前では離婚の原因は疎遠になったからだって言ってるけど、
報道では旦那が他の女作ったて言われてるよ)
・The company withdrew from Japanese market.
Their stated reason is that they want focus on US market.
But I don’t know if that’s really true.
(あの企業日本市場から撤退したよ。
建前ではアメリカ市場に注力する為ってなってるけど、
本当のところは分からないね)
・That could be just the stated reason.
They might have another motive.
(それ、建前だけの可能性もあるよ。
他の狙いがあるのかも)
以上、
「建前」を英語の日常会話で使う場合に、
適した言い回しを紹介しました。
所で、
相手の言ったことに対して本気で驚いてなかったり、
本当に興味があるわけではないけど、
相手に失礼にならないよう
「本当に!?」や「えーすごーい」と
建前で反応する事はあると思います。
これは英語で会話する時にも必要なスキルです。
下記の記事ではシチュエーション別のリアクションの仕方を紹介しています。
Really だけじゃない|ネイティブ リアクション 英語 まとめ
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