英語の発音を向上させるための効率的な「発音学習方法」と「コツ」を紹介します。
音素記号を利用した学習
日本語には「あ」~「ん」まで26個の発音が存在します。
この26個の発音が聴き取れて、正しく発音できるからこそ、
我々は日本語が聴き取れ、正しく発音でき、結果、意思疎通できています。
英語には、44個の発音が存在しています。
日本語よりも音が多いです。
これは、私達日本人にとって馴染みのない音が英語にあるということです。
しかも、44-26= 18 だから、18個の音を認知すれば良い、
というシンプルな話でもありません。
日本語の26個の音の中には「英語にはない音」も含まれています。
日本語の26個の音が全て英語にも存在するわけではないんです。
ですので、
まずは英語に存在する44の音を認識する必要があります。
上の写真の通り、英語に存在する音は「音素記号」で可視化されています。
これらの音素記号が表す発音の
・正しい音
・その音を発音するための口や舌の位置や動き
を人に教えてもらったり、教材で学んだりした上で、
発音練習をたくさんします。
発音学習に効果的なツール
発音学習の初期段階では、
正しい音を聞いただけではマネできません。
また、自分の発音が「当ってるのかどうか」も判断できません。
ですので、
正しい口や舌の位置、動きを教えてくれる教材、
または講師のレッスンを受講して、
「当ってた」、「違ってた」を指摘してもらいながら、
正しい音を認識していく作業ををおススメします。
以下、おススメの教材 / 英会話を紹介します。
発音に特化した eラーニング(有料)です。
発音記号を用いて、総括的に正しい発音の仕方が学べます。
また音のつながりやイントネーションなどの規則も理論的に学べます。
とりあえず一から全部理解したい人におススメです。
Youtube 上のチャンネル(無料)です。
英語ネイティブの専門家が発音について(日本語で)解説しています。
44個すべての音素記号を網羅してるわけではありませんが、
正しい発音を習得する上でとても有益な情報が多いです。
発音矯正アプリ(有料)です。
高性能な音声認識機能が搭載されているので、
録音した自分の発音を詳細に査定してくれます。
発音記号をある程度理解した上での、
練習・特訓作業に有効だと思います。
ある特定の単語を、
ネイティブがどのように発音をしているかを調べられるサイト(無料)です。
発音を知りたい単語を検索欄に入力して検索すると、
ネイティブがその単語を発話している場面の動画が検索結果に出てきます。
ネイティブと言っても、
女性もいれば男性もおり、
若者もいれば高齢者もいます。
また国や地域によっても、
発音が違う単語もたくさんあります。
色々なネイティブがその単語を発音している映像を見て、
参考にしたい人におススメです。
44の音素記号とその音を確認できるアプリ(無料)です。
イギリスの国際文化交流機関が提供しているアプリのため、
イギリス英語の発音が学べます。
日本語が話せる英会話講師が多く在籍するオンライン英会話(有料)です。
英語による解説がまだ理解できるほどの英語力が備わっていない、
でも発音矯正したい。
という方は、
日本人英会話講師、またはバイリンガル講師がおススメです。
ネイティブの英会話講師が在籍するオンライン英会話(有料)です。
英語による解説が理解できる人、
英語で会話がある程度できる人におススメです。
「ア」に似た音を制覇する
英語にも、日本語の「ア」に似た音がありますが、
似ているだけで、少し違います。
アメリカ英語かイギリス英語かによっても異なりますが、
日本語の「ア」に似た音は、
英語には下記の5つあります。
æ,
ə
ɜ:
ʌ
ɑ:
これらの音の違いを認識し、
正しく使分けられると、一気にネイティブらしい発音になります。
一通りの発音を認識した後は、
この「ア」に似た音を区別して発音する練習からする事をおススメします。
深いため息を意識した発声
日本語は息を止めて話しても、
少し宇宙人のような声質になる程度で、
意思疎通に弊害がでるような影響は発音に及びません。
これは、
日本語が単調なリズムで話される言語だからです。
一方英語はリズムカルな言語で、抑揚が必要になります。
単調なリズムで英語を話すと、流暢さが失われます。
場合によっては相手に理解されないです。
息をしっかり吐きながら母音を発声することで、
抑揚(リズム)が作り出せます。
息を止めて言う「ァ」と、息を吐きながら言う「ァ」とでは、
音の長さが若干変わります。
この尺の長さの違いが緩急を作り出し、
それにより発話が単調でなくなり、リズム感が演出されます。
息をしっかり吐きながら発音するコツは、
疲れた時やウンザリした時に付くため息「ハァ。。」の感覚です。
単語を辞書で調べると、
その単語の発音の仕方が発音記号で載っています。
それを参考に母音 (a,i,u,e,o)の音をため息を付く感じで、
息を吐きながら発音することを意識して言う練習をします。
慣れてきたら、単語単位ではなく、文章単位で行います。
音読などをする時に、これを意識してやります。
最初は大袈裟にやることをおススメめします。
「喉の開き」を意識
息を吸いながら、
小さく「k (日本語だと「カッ」に近い音)」と発声した時、
舌の奥と口の天井との間のスペースが、
少し開いた感覚がします。
これは、
軟口蓋と呼ばれる口の奥の天井(舌で触るとツルツルして柔らかい箇所)が
上に少し引き上がるからです。
これを「喉が開いた状態」と言ったりします。
目に見えない体の部位の話をしているので、
その感覚を掴むのが難しいかもしれませんが、
下記の図の赤丸で囲んだ箇所当たりのスペースが広くなった状態です。
言葉を発話する時、我々は息を吐きながら発声(そうでないとしんどい)します。
その時も、喉のこのスペースが (口の奥の天井が引き上がった結果)広がっている状態で発声できていると、ネイティブのような英語の発音になります。
そしてそれを実現するためには、
息を吸いながら小さく「k」と言った時の状態を意識し、
その状態を保てるようにします。
息を吸いながら小さく「k」と発声した時に自然に起きている現象としては、
- 口角が少し上がる
- 舌がニュートラルなポジションに位置していていて、
柔らかく、力んでない - 喉の奥がスースーする
などがあります。
これらが感じられたら、
正しく喉が開いている可能性が高いので、
判断材料として考慮してみて下さい。
母音を発音する時、
この「スペースが広い状態」で発声できると、
ネイティブらしい太い音で英語を発音できます。
まとめ|色々意識しよう
私はボクシングが好きです。
「正しいストレートの打ち方(利き腕で真っすぐ打つ、威力が強いパンチ)」
を解説している動画をよく見ます。
Youtube のお陰で、最近では世界チャンピオンクラスのボクサーが解説している動画を見る事ができます。
興味深いのが、それぞれ違うアドバイスをしているんことです。
- 「腰の回転を意識しろ」
- 「腰に腕の肘を乗せて、腕を押し出す感じ」
- 「力は脚からまず来る。地面を蹴る脚を意識しろ」
- 「こぶしを対象に早く当てる事を意識しろ。
自然と他の体の部位は付いて来るから」
などがあるんです。
皆さん元世界チャンピオン、または現役チャンピオンです。
それぞれ意識している事が違いますが、みんな頂点まで上り詰めた人です。
そう考えると、これらのアドバイスは全部「正解」であるべきです。
ですので、
「キレのある、素早くて強力なパンチを打つ」という「目的」を達成する為の「手段」として意識するべき事は、1つでは無いという事になります。
発音も結局のところ体の部位の動作 (使い方・動かし方) に関係しますので、
同じことが言えると思います。
「ネイティブみたいな発音で英語を話す」という「目的」を達成する為の「手段」として、意識すべき事は1つではないように思います。
僕はボクシングのミット打ちで、
「1ラウンド目は地面を蹴る脚を意識しよう」
「2ラウンド目はこぶしをミットに早く当てる事を意識しよう」
「3ラウンド目は肘を腰に乗せて、押し出す感じを意識しよう」と、
考えて色々やっていました。
その結果、トレーナーに「パンチ上手くなったね」って褒められました。
今では「なんか今日、パンチ鋭く打ててないな」と、
感覚的に思ったりする事があります。
そんな時僕は、
「ちょっと、地面を蹴る後ろ脚を意識しよう」とか
「腰の回転を意識しよう」とか考えて、
色々やっています。
発音もきっと同じで、
- 「喉を意識しよう」
- 「腹からしっかり息を吐く事を意識しよ
- 「口や舌の位置・動きを意識しよう」
など、英語の発音の専門家のアドバイスも違ったりします。
我々一般の学習者は、それらを聞いて、色々と意識して試してやってみる事自体が、発音向上に効果的だと思います。
そして「今日なんか自分の発音微妙だな」と思った時に、
色々と意識するところを変えて、工夫してみると良いと思います。